令和2年 第2回 「線路設備」



32_2_senro_1_(1).png

問1
(1)
ア:④ 分布帰還(DFB)
イ:⑧ 外部変調
ウ:⑩ チャーピング
エ:② コア


補足
・半導体レーザ(LD:Laser Diode)
N型半導体とP型半導体の間に活性層を設けた構造をしたレーザ発振素子。電極に電流を流すと活性層が発光し、活性層内で反射を繰り返すことで、位相が揃いレーザー光として発振される(誘導放出)
・分布帰還(DFB:Distributed FeedBack Laser)型半導体レーザ
半導体と活性層の間に回折格子を設けた構造をしている。回折格子幅の2倍の波長の光が強め合うため、選択された波長のレーザのみを発振することができる。
LD.png


直接変調:半導体レーザ(LD)に対して、信号(印加電流)を直接入力して強度変調する方式。直接変調する場合、数GHz以上の高速で変調を行うとチャーピングと呼ばれる光の波長が変動する現象が起こり信号の劣化が激しくなる。
外部変調:半導体レーザに対して外部から変調を加える(細かい制御が行え、高速化・長スパン化が可能)
henchouki.png

EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier:エルビウム添加光ファイバ増幅器):石英ファイバのコアにエルビウムイオンを添加した光ファイバを利用して1,550 nm帯の光信号を増幅する装置
・エルビウム添加光ファイバ増幅器の構成

fiber_zouhuku.png




32_2_senro_1_(2)i.png

(2)
(ⅰ)
答え:②
解説
① 設備センタとユーザ間を光ファイバを用いて1対1で接続する方式はSS方式といわれ、ユーザ数が多くなるほどPDS方式と比較して1ユーザ当たりの設備コストが低くなる(正:高くなる)
② 正しい
③ PDS方式は、設備センタとユーザ間の光ファイバを光スプリッタを用いて分岐し、1対多で接続する方式であり、光スプリッタは小型であるため設置場所の制約は緩和されるが、光スプリッタへの給電が必要(正:は不要)である。
④ SS方式、ADS方式及びPDS方式のうち、PONシステムとして適用される方式は、ADS方式(正:PDS方式)である。


補足
・SS・ADS・PDSのそれぞれの構成図
SS2.png

ADS2.png

PDS2.png


PDS方式(PON)の構成機器

ONU(Optical Network Unit):ユーザ宅内に設置される光終端装置。光ファイバによるGE-PONの通信を終端し、Etherなどの電気信号に変換する装置
OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局舎側に設置される光終端装置。一つの光ファイバに最大32台のONUを収容することができる。
光スプリッタ:電線上などに設置され、OLTを複数のONUに接続するために光信号を分岐・合流する装置





32_2_senro_1_(2)ii.png

(ⅱ)
答え:①
解説
①正しい
② 設備センタ側からユーザ側への下り方向の通信にはCDM方式(正:TDM方式)が用いられており、下り方向の信号光の波長には1.55μm帯(正:1.49μm帯)が用いられている。
③ 設備センタ側からユーザ側への下り方向の通信に映像配信サービスを追加する際、映像信号光の波長には0.98μm帯(正:1.55μm帯)が用いられている。
④ 双方向通信方式としては、WDM方式(正:TCM方式)と比較して伝送効率が優れているTCM方式(正:WDM方式)が用いられている。


補足
・GE-PONの波長分配
それぞれの信号は、下記のよう各波長に割り当てられている。
波長
映像信号1.55μm帯
上り1.31μm帯
下り1.49μm帯


・PONの伝送方式
PONは、上りは、TDMA方式、下りは、TDM方式が使われる

TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重):一つの伝送路を時間で区切って複数のタイムスロットを作り、異なる信号をそれぞれのタイムスロットに格納し多重伝送をする技術。
TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続):TDMを応用して、一つの伝送路を複数のユーザーで同時利用する方式

WDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing):1心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上りと下りの光信号を同時に送受信可能とする光通信方式。

・TCM方式(別名:ピンポン方式):1対のメタリックケーブル(2線)で双方向通信を実現するために、送信と受信を時間的に交互に繰り返す方式。2対のメタリックケーブル(4線)での送信パルスを2倍以上の速度にし、時間圧縮で空いた時間を反対側の受信パルスに使う。卓球の玉が交互にやり取りされる様子に似ているため、ピンポン方式とも呼ばれる。
ISDNの場合は、片方向160kbpsの伝送速度が必要なため、その2倍の320kbpsの通信帯域を用意し、通信を交互にやり取りすることで双方向通信を実現している。
TCM.png





32_2_senro_1_(3)i.png

(3)
(ⅰ)
答え:④
解説
① 地下用多心光ファイバケーブルは、一般に、テンションメンバを中心にして光ファイバテープ心線を収納したスロットロッド、外被などによって構成され、スロットロッドと外被の間にステンレステープを巻いたFRケーブル(正:HS ケーブル)、難燃性外被を施したIFケーブル(正:FR ケーブル)などがある。
② 1,000心のスロットロッド型光ファイバケーブルは、スロットロッドの周りに15個(正:13個)のスロットを有する構造であり、8心光ファイバテープ心線が10テープずつ10個(正:12個)のスロットに、4心(正:8心)光ファイバテープ心線が10テープ(正:5テープ)ずつ5個(正:1個)のスロットにそれぞれ積層されている。
③ 架空用光ファイバケーブルのうち、ケーブル部と吊線部との間のスリットを大きくして首部に窓をあけた構造の自己支持形ケーブルは、スリットのない自己支持形ケーブルと比較して、強風によるダンシング現象が生じやすい(正:生じにくい)が、軽量化されているため、布設作業が容易である。
④ 正しい


補足
IFケーブル(Induction Free Cable):テンションメンバにFRP(繊維強化プラスチック)などの非金属材料を使用することで誘電対策を施したケーブル
HSケーブル(High Strength Cable):ステンレステープで外被が保護されたケーブル。キツツキや鼠、リス等の鳥獣害対策が使われる。
FRケーブル(Frame Retardant Cable):難燃性を持たせたケーブル

・1000心のスロットロッド型光ファイバケーブル
1000心のスロットロッド型光ファイバケーブルは、スロットロッドの周りに13個のスロットを有している。
13個のスロットのうち、12個は、8心光ファイバテープ心線が10本入っている。
13個のスロットのうち、1個は、8心光ファイバテープ心線が5本入っている。
心線数を計算すると、以下のように1000心となる。
 12(スロット)×10(テープ)×8(心線)=960
 1(スロット)×5(テープ)×8(心線)=40
 960+40=1000

slot.png


・自己支持形ケーブル
架空ケーブルのうち、通信線と並行して支持線が一体化されたケーブル。架空配線された際にかかる風圧やケーブル自重などの応力を支持線によって負担させる。
自己支持形ケーブルのうち、支持線と通信線との連結部分にスリットを設けることで風の通り道を作ることでダンシング現象を抑制しているものもある。
ダンシング現象:架空ケーブルにおいて、風によってケーブルに揚力が生じ、ケーブル自体のねじれ振動と相乗して一種の自励振動が発生する現象
zikoshiji.png


電磁誘導障害:送電線に流れる電流によって隣接する通信に電圧が生じ、通信障害などの悪影響を与える現象。
FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック):、ガラス繊維や炭素繊維を複合して強度を向上させた合成強化プラスチック。
クマゼミによある光ファイバ心線の断線故障:西日本に生息するクマゼミは、枯れ木の内部に産卵するが、光ファイバケーブルと枯れ木を間違えて光ファイバケーブルの内部に産卵してしまい、光ファイバの心線を傷つけ通信障害を発生させる





32_2_senro_1_(3)ii.png

(ⅱ)
答え:⑤ A、Cが正しい
解説
A、C:正しい
B:光ファイバテープ心線は、複数本の光ファイバ心線を整列し、UV硬化型樹脂でテープ状に一括被覆したものであり、光ファイバテープ心線には2心、4心、8心などがあるが、融着接続により一括接続できる心線数は、最大4心(正:12心)である。

補足
・光ファイバケーブルの断面図
1次被覆にはUV硬化型樹脂、2次被覆にはポリアミド樹脂が使われている。
fiber_sinsen.png

・光ファイバテープ心線(4心)の断面図
複数本の光ファイバ心線を整列し、UV硬化型樹脂でテープ状に一括被覆したもの。
tape_fiber.png







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