31年 第1回 「線路設備」



31_1_senro_1_(1).png

問1
(1)
ア:⑯ マイクロベンディングロス
イ:③ ルース
ウ:⑫ ノンスロット構造
エ:⑤ 0.2

補足
・「マイクロベンディングロス」と「曲げによる放射損失」
マイクロベンディングロス:側面からの不均一な圧力がかかった際に、光ファイバの軸がわずかに曲がり、発生する放射損失(光が外に漏れてしまう損失)
曲げによる放射損失(マクロベンディングロス):光ファイバ全体を曲げすぎることにより全反射できなくなった光の放射損失
micro_macro_loss2.png


・タイトタイプとルースタイプの光ファイバ
・タイトタイプ:一次被覆の上に、ポリアミド樹脂などで二次被膜を設けたタイプ
・ルースタイプ:一次被覆と二次被覆の間が空気やジェリーなどで充填され、ファイバ心線をフリーな状態にしているタイプ
loose_type2.png


・間欠接着型光ファイバテープ心線
一般のテープ心線とは違い、それぞれの心線が交互に間欠的に接着されている。接着部が少ないため、ケーブルの形を柔軟に変えることができる。また特殊な工具を使わずに簡単に心線を切り離すことができる。
kanketu.png

・スロットロッド型とノンスロット型光ファイバ
スロットロッド型光ファイバ:スロットロッドの周りにテープ心線が複数収容できるスロットが配置されている構成となっている。
ノンスロット型光ファイバ:ファイバの中心に間欠接着型光ファイバテープ心線が収納される。
non_slot.png

・テンションメンバの機械的強度
光 ファイバケーブルと接続 ・測定技術(https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1978/41/11/41_11_1091/_pdf#page=3)に下記の記載がある。
光ケーブルの抗張力体(テンションメンバ)は,布設時の張力を分担し,光ファイバに加わる伸びひずみが0.2%以下に制限されるように,その寸法,材料が設計される





31_1_senro_1_(2)i.png

(2)
(ⅰ)
答え:③
解説
① 光ファイバには、その構造を決定するパラメータがあり、マルチモード光ファイバの場合は、モードフィールド径(正:コア径)、開口数などがあり、シングルモード光ファイバの場合は、コア径(正:モードフィールド径)、遮断波長などがある。

② 石英系光ファイバには、コアやクラッドの屈折率を調整する方法として、コアにフッ素(正:ゲルマニウム)を添加してコアの屈折率を大きくする方法、クラッドにゲルマニウム(正:フッ素)を添加してクラッドの屈折率を小さくする方法などがある。

③ 正しい

④ 光増幅用として用いられる希土類添加光ファイバには、クラッド(正:コア)に増幅動作のためのエルビウムイオンと増幅利得の波長特性平坦化のためのリン(正:アルミニウム)が添加されているものがある。

補足
・光ファイバの構造に関連するパラメータ
fiber_pal.png

モードフィールド径:シングルモード光ファイバでは、コア部からクラッド部に漏れ出して反射して進む光があり、漏れ出す量としても無視できない。そのため、光ファイバの性質を表す上で、コア径ではなく光の漏れを考慮した直径であるモードフィールド径が有用なパラメータとして利用される。シングルモード光ファイバでは、ファイバを断面的に見た場合、コアの中心を中心軸としてみた場合のガウス分布に近似した形で光強度が分布される。モードフィード径は、このガウス分布が1/e2になる場所を境界としたときの直径となる。
MFD.png

カットオフ波長(遮断波長):シングルモード光ファイバでは、波長が短くなるとマルチモードでの通信になってしまう。シングルモードとマルチモードの境目となる波長をカットオフ波長といい、シングルモードで伝搬できる最短の波長として定義される。

開口数:入射光線がコア内で内部全反射するためにもてる最大角の度合い。
下記の図では、θの角度より小さい場合は、コア内を全反射して進める(黄色い矢印)が、θの角度が大きくなると、コア部から漏れてしまう(赤い矢印)。このθの値を最大受光角という。
このθに対して、開口数NAは下記のように表せる。
\( NA=sin\theta \)

kaikou_suu.png

・コア・クラッドの屈折率の調整するために添加される物質
 コア部:屈折率を上げる必要がある⇒ゲルマニウム(Ge)やリン(P)を添加
 クラッド部:屈折率を下げる必要がある⇒ホウ素(B)やフッ素(F)を添加

・SI(ステップインデックス)型ファイバとGI(グレーデッドインデックス)型ファイバの屈折率分布
マルチモード光ファイバには、とSI(ステップインデックス)型とGI(グレーデッドインデックス)型の2つがある。
SI(ステップインデックス)型は、コア部の屈折率が一定で階段状の屈折率分布を持っている。GI(グレーデッドインデックス)型は、SI型で問題となるモード分散の影響を最小限にするために、屈折率分布を放射線状に変化させた構造になっている。

GI_SI_fiber_bunpu2.png

・(参考)モード分散とGI(グレーデッドインデックス)型ファイバ
マルチ光ファイバは、複数の光の経路(モード)を持っている。モードのうち、入射角度の小さい光の経路(低次モード)は、反射回数が少なく進行方向に対して短い経路を取ることができるため到着時間が早くなる。逆に入射角度の大きい光の経路(高次モード)は、反射回数も多くなり進行方向に対して長い経路を取ることとなり到着時間が遅くなる。このように、光パルスを複数のモードに分けて伝送する際に到達時間に幅が出来てしまい、光パルスの品質が悪くなる現象をモード分散という。
mode_bunsan.png

GI(グレーデッドインデックス)型ファイバは、コアの中心の屈折率を大きくし、コアの外側に行くほど屈折率を小さくした構造をしている。このような構造により、低次モードはコアの中心を全反射して進み、高次モードはコアの外側を全反射進む。光の伝搬速度は、屈折率に反比例する性質を持っており、低次モードの光は伝搬速度が遅くなり、高次モードの伝搬速度は速くなる。この性質をうまく調整することで、低次モードから高次モードまでの到着時間の差をなるべく小さくすることでSI型で問題となっていたモード分散への対処が可能となる。(現在使われているマルチモードファイバのほとんどがGI型になっている。)
GI_fiber_mode.png

・エルビウム光ファイバ増幅器へのアルミニウムの添加
エルビウム光ファイバ増幅器では、1.55μm帯の波長多重された複数の光信号を増幅できるが、1.55μm帯の中でも波長によって増幅率の違いがある。このような波長に依存した波長増幅量の平均化を図るうえで、アルミニウムをコアに添加することで、平坦化することができる。




31_1_senro_1_(2)ii.png

(ⅱ)
答え:① Aのみ正しい
解説
A:正しい
B:GE-PONにおいて、ONUからOLTへの上り信号の伝送では、OLTを共有する他のONUから送出される信号と衝突しないように、CDMA(正:TDMA)を用いてそれぞれの信号の位相(正:タイムスロット)を変化させている。
C:GE-PONにおいて、OLTからONUへの下り信号の伝送では、複数のONUへの信号が時間的に重ならないように、FDM(正:TDM)を用いて多重化されている。

補足
WDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing):1心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上りと下りの光信号を同時に送受信可能とする光通信方式。

・GE-PONの波長分配
それぞれの信号は、下記のよう各波長に割り当てられている。
波長
映像信号1.55μm帯
上り1.31μm帯
下り1.49μm帯


・PONの伝送方式
PONは、下りは、TDM方式、上りは、TDMA方式が使われ、上り、下りはそれぞれWDM(波長多重)技術により別の波長で伝送される。

TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重):一つの伝送路を時間で区切って複数のタイムスロットを作り、異なる信号をそれぞれのタイムスロットに格納し多重伝送をする技術。
TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続):TDMを応用して、一つの伝送路を複数のユーザーで同時利用する方式

TDM_TDMA_WDM.png

FDM(Frequency Division Multiplexing:周波数分割多重):周波数を分割して、上り、下りを分離
CDMA(Code Division Multiple Access:CDMA:符号分割多元接続):同一の周波数帯において、複数の通信を行えるようにする多元接続方式。送信する1次変調されたデータに対して、2次変調として拡散信号を使って変調をかけると、広帯域に拡散した搬送波となり、ノイズに強くなる。



31_1_senro_1_(3)i.png

(3)
(ⅰ)
答え:②
解説
①③④正しい
② 不純物による吸収損失としては、OH基吸収による損失があり、これは、原理的に除去できないものであり、光ファイバの光損失の支配的な要因となっている(正:現在は光ファイバの低損失化技術が進んだため、不純物による吸収損失はほとんど問題なくなっている)

・損失の種類
sonsitu_seiri.png
・各損失の発生イメージ
sonsitu_image.png

光ファイバ固有の損失
・吸収損失
 紫外吸収損失・赤外吸収損失:石英ファイバが本来もっている固有の吸収特性として、波長0.1μm付近にピークのある紫外吸収と、波長10μm付近にピークのある赤外吸収がある。

不純物による吸収損失:不純物による吸収損失のうち、いちばん影響の大きいのは、OH基(OH-:水酸イオン)による損失で、波長1.4μm付近で大きなピークになる。しかし、現在は光ファイバの低損失化技術が進んだため、ほとんど問題にならなくなっている

・散乱損失
 レイリー散乱損失:光ファイバ製造時の高温状態(約2000℃)で発生するファイバ内の屈折率のゆらぎが原因で、ファイバ内の光が散乱することにより発生する損失。レイリー散乱損失の大きさは光の波長の 4 乗に反比例する。
 構造の不均一性による散乱損失:光ファイバ製造時にコア・クラッド界面に微小な凹凸が残っていると光を乱反射し、損失を増大させてしまう。現在は光ファイバの低損失化技術が進んだため、ほとんど問題とならなくなっている

※光ファイバ損失の波長依存性
「光ファイバ固有の損失」のうち、ファイバ工法の改善により影響の少ない損失以外の「紫外吸収損失」、「赤外吸収損失」、「レイリー散乱損失」の波長依存性(どの波長でどれくらいの損失があるか)を表したグラフが以下になる。下記のグラフから、波長の1.55μm付近が一番損失が少ない波長帯であることがわかる。
sonsitu_hatyouizon.png


外的な損失
マイクロベンディング損失:側面からの圧力により光ファイバの軸がわずかに曲がることによっておこる放射損失。この損失を予防するためにファイバに被覆が施される。
マクロベンディング損失(曲げによる放射損失):光ファイバが曲げられたとき、全反射できる角度(臨界角)を超えてしまい光が放射されてしまい起こる損失
接続損失:2本の光ファイバの接続時に軸がずれて接続されたり、ファイバ間に隙間がある場合に発生する損失。軸ずれの場合は、一方の光ファイバからの光が接続先のファイバに入射できずに漏れてしまい損失(放射損失)となり、隙間がある場合は、隙間の空気との屈折率の違いからフレネル反射が起こり、光の損失(反射損失)が発生する。
結合損失:発光素子や受光素子、コネクタなどとファイバとの結合の際に発生する損失。屈折率の違いなどからフレネル反射が起こる。

フレネル反射:屈折率の異なる物質の境界面で起こる反射のこと。光コネクタや発光/受光素子との接続部や、ファイバ接続時に隙間がある場合などに発生する



31_1_senro_1_(3)ii.png

(ⅱ)
答え:① Aのみ正しい
解説
A:正しい
B:分散には、モード分散、材料分散、構造分散などがある。シングルモード光ファイバにおいて、構造分散(正:モード分散)は生ずることがなく、光パルスの幅が時間的に広がる現象の主要因は、モード分散(正:構造分散)と材料分散である。
C:マルチモード光ファイバに入射された光パルスは、伝搬速度が異なる幾つかのモードに分かれて伝搬するため、光パルスの幅に時間的な広がりを生ずる。この分散を抑えるためには、屈折率分布の形状が放物線状(正:階段状)ではなく階段状(正:放物線状)のマルチモード光ファイバを用いる方法が有効である。

補足
・分散の種類
bunsan_seiri.png

波長分散:光信号に使用される光は、単一の波長ではなく、厳密にはある程度の幅を持った波長である。この波長の幅によって引き起こされる分散を波長分散という。波長分散は、更に材料分散と構造分散に分けられ、これらの分散のが波長分散の値となる。
-材料分散:均一な媒質中であっても光の波長によって屈折率が異なるために伝搬速度に差がでてしまう。光が進んで行くに従い、屈折率の違いにより徐々に広がってしまう現象を材料分散という。
-構造分散:光ファイバのコア部とクラッド部の境界面で全反射するときに光がクラッド部分へしみ出す。構造分散は、このしみ出る割合が波長により異なるために生じる。

・(参考)シングルモード光ファイバの分散
以下は、材料分散と構造分散の各波長での分散の大きさと、それの和である波長分散の分布を表している。
SMF_bunsan.png

・シングルモード光ファイバ特有の分散
偏波モード分散:光ファイバ中を直行する2つの偏波モード間において、群速度に遅延差が発生することによる分散。光ファイバ内のわずかな歪みから複屈折の影響から発生する。10Gbit/s以上の高速・長距離で問題になることがある。
henpa_mode_bunsan.png

・マルチモード光ファイバ特有の分散
モード分散:マルチ光ファイバは、複数の光の経路(モード)を持っている。モードのうち、入射角度の小さい光の経路(低次モード)は、反射回数が少なく進行方向に対して短い経路を取ることができるため到着時間が早くなる。逆に入射角度の大きい光の経路(高次モード)は、反射回数も多くなり進行方向に対して長い経路を取ることとなり到着時間が遅くなる。このように、光パルスを複数のモードに分けて伝送する際に到達時間に幅が出来てしまい、光パルスの品質が悪くなる現象をモード分散という。
mode_bunsan.png

・SI(ステップインデックス)型ファイバとGI(グレーデッドインデックス)型ファイバの屈折率分布
マルチモード光ファイバには、とSI(ステップインデックス)型とGI(グレーデッドインデックス)型の2つがある。
SI(ステップインデックス)型は、コア部の屈折率が一定で階段状の屈折率分布を持っている。GI(グレーデッドインデックス)型は、SI型で問題となるモード分散の影響を最小限にするために、屈折率分布を放射線状に変化させた構造になっている。

GI_SI_fiber_bunpu2.png

・(参考)GI(グレーデッドインデックス)型ファイバのモード分散への対処
GI(グレーデッドインデックス)型ファイバは、コアの中心の屈折率を大きくし、コアの外側に行くほど屈折率を小さくした構造をしている。このような構造により、低次モードはコアの中心を全反射して進み、高次モードはコアの外側を全反射進む。光の伝搬速度は、屈折率に反比例する性質を持っており、低次モードの光は伝搬速度が遅くなり、高次モードの伝搬速度は速くなる。この性質をうまく調整することで、低次モードから高次モードまでの到着時間の差をなるべく小さくすることでSI型で問題となっていたモード分散への対処が可能となる。(現在使われているマルチモードファイバのほとんどがGI型になっている。)
GI_fiber_mode.png






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