令和4年 第2回 「線路設備」
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問1
(1)
ア:⑯光合分波器
イ:⑦整数倍
ウ:⑬20
エ:⑩非冷却
WDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing):1心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上りと下りの光信号を同時に送受信可能とする光通信方式。WDMは波長の密度によって、CWDM (Coarse WDM)とDWDM (Dense WDM)の2種類が存在する。
CWDM | DWDM | |
波長密度 | 粗い | 密 |
波長 | 1.29μm~1.61μm | 1.55μm(193.1THz) |
波長間隔 | 20nm 間隔 | 12.5GHz、25.0GHz、50.0GHz 又は 100GHz |
波長数 | 最大16波長 | 最大1000波長程度 |
伝送距離 | 短距離(50km程度) | 長距離 |
コスト | 安い | 高い |
用途 | 同一都市の拠点間 | 都市間・国家間 |
・WDMシステムの構成
<送信側>
SDH/SONETの信号やイーサネット信号などのクライアント信号をトランスポンダで各波長の光信号に変換し、光合波器で多重化して伝送路に送出する
<線路>
WDM信号は、線形中継器で光増幅される
<受信側>
WDM信号を分波器で各波長の光信号に分け、トランスポンダを介して元のクライアント信号に復元する

トランスポンダ:SDH/SONET装置などのクライアント信号とWDM装置に入出力される各波長の光信号を相互変換する装置
光合分波器:WDMで利用させる装置。波長の違う光を合成させたり、分波させたりする装置
アレイ導波路回折格子型光分波器:光の多重化、分離化によく用いられる
・アレイ導波路回折格子(AWG)
長さの異なる複数の光導波路から構成された光合分波器。広帯域・高密度の光合波・分波が1つの導波路で実現できるため、DWDMのような高密度な波長多重システムの光合分波器として利用される。

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(2)
答え:③
① 光は、放送や携帯電話に用いられる電波と比較して、波長が非常に長い(正:短い)電磁波である。
② 光の回折現象のうち、光源と観測点のいずれか、又は光源と観測点の両方が開口に近く、光の波面の曲率が無視できない回折は、フラウンホーファー回折(正:フレネル回折)といわれる。
③ 正しい
④ 光の波長に近い大きさの微粒子を含む透明な媒質に白色光を入射させると、入射側に近いところでは青い光が散乱し、残った赤い光が伝搬する。この現象はレイリー散乱といわれ、散乱による損失の大きさは波長の2乗に比例(正:4 乗に反比例)する。
・光の電磁波としての特徴
光は、波長の短い(周波数の高い)電磁波である。電磁波は、振動する電界と、その電界と直交しながら振動する磁界からなり、それぞれの振動方向は進行方向に垂直な横波である。

・フレネル回折とフラウンホーファー回折
光の回折現象のうち、光源と観測点のいずれか、又は光源と観測点の両方が開口(回折が起こるスリット)に近くにある場合の回折をフレネル回折といい、遠くにある場合の回折をフラウンホーファー回折という。
レイリー散乱損失:光の波長に比べて十分小さな粒子や、密度・組成揺らぎなどが原因となって生じる光の散乱。光ファイバの光損失の原因の1つで,光ファイバを構成する分子のミクロな密度揺らぎによって光が散乱される現象。散乱による周波数変化はなく、散乱光の強度は波長の4乗に逆比例し、長波長ほど小さくなる。
・損失の種類

・各損失の発生イメージ

光ファイバ固有の損失
・吸収損失:光ファイバ材料自身によって吸収され熱に変換されることにより生ずる損失。
紫外吸収損失・赤外吸収損失:石英ファイバが本来もっている固有の吸収特性として、波長0.1μm付近にピークのある紫外吸収と、波長10μm付近にピークのある赤外吸収がある。
不純物による吸収損失:不純物による吸収損失のうち、いちばん影響の大きいのは、OH基(OH-:水酸イオン)による損失で、波長1.4μm付近で大きなピークになる。しかし、現在は光ファイバの低損失化技術が進んだため、ほとんど問題にならなくなっている。
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(3)
答え:②
①③④正しい
② モードフィールド径は、光ファイバ内の光の強度分布がガウス型で近似できるとき、光強度が最大値に対して1/√e(正:1/e2)になるところの直径であり、SM光ファイバの構造パラメータとして用いられる。
・光ファイバの構造に関連するパラメータ

モードフィールド径:シングルモード光ファイバでは、コア部からクラッド部に漏れ出して反射して進む光があり、漏れ出す量としても無視できない。そのため、光ファイバの性質を表す上で、コア径ではなく光の漏れを考慮した直径であるモードフィールド径が有用なパラメータとして利用される。シングルモード光ファイバでは、ファイバを断面的に見た場合、コアの中心を中心軸としてみた場合のガウス分布に近似した形で光強度が分布される。モードフィード径は、このガウス分布が1/e2になる場所を境界としたときの直径となる。

カットオフ波長(遮断波長):シングルモード光ファイバでは、波長が短くなるとマルチモードでの通信になってしまう。シングルモードとマルチモードの境目となる波長をカットオフ波長といい、シングルモードで伝搬できる最短の波長として定義される。
開口数:入射光線がコア内で内部全反射するためにもてる最大角の度合い。
下記の図では、θの角度より小さい場合は、コア内を全反射して進める(黄色い矢印)が、θの角度が大きくなると、コア部から漏れてしまう(赤い矢印)。このθの値を最大受光角という。
このθに対して、開口数NAは下記のように表せる。
\( NA=sin\theta \)

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(4)
答え:④
① EDFAは、一般に、エルビウム添加光ファイバ、励起光源、光変調回路、信号光と励起光を重ね合わせる光アイソレータ(正:エルビウム添加光ファイバ、励起光源、光アイソレータ、信号光と励起光を合分波する光合分波器)などから構成される。
② EDFAの励起光源としては、一般に、高出力動作を目的とする場合は1.65μm帯(正:1.48 μm 帯)のLDが用いられる。
③ EDFAは、一般に、相互変調ひずみが生じやすく、ビットレート依存性がある(正:変調やビットレートの依存性は少なく)ため、異なる多数の波長を同時に増幅する場合、波長ごとに個別のEDFAを設置する必要がある(正:1つのEDFAで対応することができる)。(※異なる波長とは、一つの波長帯の中で多数の波長を波長多重している場合の事。波長帯が異なる場合(例えば、1.55帯と1.31帯の場合など)は、別々の増幅器が必要になる)
④ 正しい
EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier:エルビウム添加光ファイバ増幅器)の仕組み:
石英ファイバにエルビウムイオンを添加した光ファイバを利用して1.55μm帯の光信号を増幅する装置。エルビウムイオンは、1.48μmおよび0.98μmの波長帯の光で励起し、誘導放出時に1.55μm帯の光を放出する性質を持っている。そのため、EDFAでは、励起光源として、1.48μmまたは0.98μmを使い、反転分布(励起状態)を作り出し、通信路から1.55μm帯の光が入ってくると、その光により誘導放出が発生し、1.55μm帯の光が増幅される。

1.48μm帯と0.98μm帯の励起光源の違い
1.48μm帯の励起光は変換効率が高い特徴があり、0.98μm帯の励起光は変換効率が低いものの、雑音指数が低い特徴がある。
そのため、高出力が要求されるブースターアンプでは1.48μm帯が、雑音を抑えたいプリアンプでは、0.98μm帯の励起光が使われる傾向にある。
・ブースターアンプ:送信側に設置され、伝送距離を延ばすため使用される。高出力なアンプが利用される。
・プリアンプ:受信側に設置され、伝送されてきたパルスを認識できるレベルまで増幅するためのアンプ。出力は比較的小さいが、雑音指数が小さいものが利用される。
・インラインアンプ:線路上の中間で減衰したパルスを増幅するためのアンプ。ブースターアンプとプリアンプの中間の性能のものが利用される。

・相互変調ひずみ:異なる波長(周波数)の信号が互いに影響をしあってひずみを生じさせる現象
・EDFAのファイバ長さと利得の関係
下のグラフでは、入力信号として1.533μmと1.553μmの2つの波長を使い、エルビウムイオンを添加した光ファイバの長さを変えていった場合の利得係数(励起パワー当たりの利得)の値を表している。このグラフでは、2つの波長いずれでもファイバ長さ12mで最大の利得係数となり、それ以上、それ以下の長さでは減少傾向にあることが分かる。

参考:エルビウム添加ファイバ増幅器のゲイン特性(https://www.lucklaser.jp/news/laser-1350)
令和元年第2回(線路設備)問1(3)(ii) エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)の特徴 ※同一問題
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(5)
答え:④A、Bが正しい
A、B:正しい
C:PONは、設備センタとユーザ宅の途中に光受動デバイスを設置し、設備センタからの光信号を分岐してユーザ宅に接続する形態のネットワークであり、ADS(正:PDS)ともいわれる。
・HFC(Hybrid Fiber Coax):CATV網のネットワーク構成方法の1つ。センタ側の幹線系に既設の光ファイバが用いられ、ユーザ宅に近い分配系に同軸ケーブルが用いられる。CATV会社としては、既存の同軸ケーブル網を流用できるため、高速大容量化した光ファイバ通信の展開を経済的に行える。

・同軸ケーブル/HFCシステムと流合雑音について
CATVネットワークのうち、全区間で同軸ケーブルを用いる方式では、CATV局から伸びる幹線から樹枝状に分岐されたネットワーク構成をとる。各枝部の上り信号では、加入者宅内の家電製品などから発生する電気的雑音が乗ってしまい、幹線部では、それらの雑音が流合することで、通信品質に影響を与えるほどの雑音が累積されてしまう。このような雑音を「流合雑音」という。一方で、HFC方式では、従来、1本の同軸ケーブルで構成されていた幹線が複数の光ファイバで分配するような形で構成される。そのため、1幹線に接続されるユーザ数が少なくなり流合雑音を減らすことができる。

PDS方式(PON)の構成機器

ONU(Optical Network Unit):ユーザ宅内に設置される光終端装置。光ファイバによるGE-PONの通信を終端し、Etherなどの電気信号に変換する装置
OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局舎側に設置される光終端装置。一つの光ファイバに最大32台のONUを収容することができる。
光スプリッタ:電線上などに設置され、OLTを複数のONUに接続するために光信号を分岐・合流する装置
・【参考】SS・ADSの構成図


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