令和5年 第1回 「伝送設備」



35_1_setubi_1_(1).png


問1
(1)
ア:⑤ FEC
イ:② ブロック
ウ:⑪ 連続

解説
ARQ(Automatic repeat-request:自動再送要求):データ通信を正しく行うための誤り訂正技術の一つ。受信側はデータを正しく受信できなかった場合に再送を要求し、送信側はある一定時間内に送達の通知を受け取るまで再送を繰り返す。再送制御などともいう。
FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正):データ通信を正しく行うための誤り訂正技術の一つ。送信側はあらかじめ一定のルールに従って誤り訂正用の符号を追加したデータを送信し、受信側では、データの誤り部分に対して誤り訂正用の符号を用いて訂正を行う。

・誤り訂正符号の種類
 ・ブロック符号:送信すべき一定のビットをブロックとして、そのブロックに対してチェックビットを付加する符号方式。
 ・畳込み符号:ブロック符号のように明確な区切りを持たず、過去に送信された情報などを含めて誤りをチェックする符号方式。



35_1_setubi_1_(2).png

(2)
答え:②
解説
①③④正しい

② AWGは、光カー効果(正:長さの違う導波路)を利用して、入力されたWDM信号の波長ごとに出力ポートを設定できる。

補足
・アレイ導波路回折格子(AWG)
長さの異なる複数の光導波路から構成された光合分波器。広帯域・高密度の光合波・分波が1つの導波路で実現できるため、DWDMのような高密度な波長多重システムの光合分波器として利用される。
AWG.png

・光カー効果:信号光パワーが大きくなると現れ、光の強度に応じてファイバの屈折率が変化し、通信品質の劣化を招く現象

WDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing):1心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上りと下りの光信号を同時に送受信可能とする光通信方式。WDMは波長の密度によって、CWDM (Coarse WDM)DWDM (Dense WDM)の2種類が存在する。WDMでは、使用できる波長数を増やし波長の間隔を狭めて高密度化することや、使用できる波長帯域(バンド)を増やすことにより大容量化を図っている。

・WDMシステムの構成
<送信側>
SDH/SONETの信号やイーサネット信号などのクライアント信号をトランスポンダで各波長の光信号に変換し、光合波器で多重化して伝送路に送出する
<線路>
WDM信号は、線形中継器で光増幅される
<受信側>
WDM信号を分波器で各波長の光信号に分け、トランスポンダを介して元のクライアント信号に復元する
WDM_system2.png


OADM(Optical Add/Drop Multiplexer):リング状に構成されたバックボーン用の光回線ネットワーク。WDM技術と光スイッチングを利用し、光信号のまま経路のやり取りができるため、高速通信が可能。

・OADMの動作
各OADM装置は、波長ごとにAdd(挿入)、Drop(分離)、Through(通過)を選択することができるため、OADM装置間でAdd、Dropする波長を決めておけば、リング状に構成したネットワークで任意のOADM装置間の通信が実現できる。

Add(挿入):ROADMネットワークに対して、外部のアクセスネットワーク等からのデータを乗せる
Drop(分離):ROADMネットワークで転送されてきたデータを、アクセスネットワークに降して転送する
Through(通過):データをDropせずに次のROADM装置にデータを中継する

oadm.png

ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer):従来のOADMでは、各装置ごとにAdd、Drop、Throughする波長は固定的で、一度設置すると変更が困難だった(物理的なポートの差し替えなどが必要になる)が、ROADMでは、遠隔操作により各装置のAdd/Drop/Throughする波長の設定を動的に変える事ができる。

・ROADMの構成
遠隔地に設置された、OSS(Operation Support System)は、各ROADM装置に対して、Add(挿入)、Drop(分離)、Through(通過)のいずれかの指示を与え、任意の拠点間通信を実現する。

roadm_system.png

・ROADM装置の構造
ROADM装置の波長選択を行う部分は、1×2光スイッチ(1つの入力ポートに対して2つの出力ポートを選択できるスイッチ)やWSS(Wavelength Selective Switch)により構成される。光分波器でそれぞれの波長に分波された光信号は、光スイッチやWSSにより分岐、通過が選択できる。また信号を挿入する場合も、光スイッチやWSSの機能により実現される。

ROADM_SW_WSS2.png

WSS(Wavelength Selective Switch:波長選択スイッチ):入力された多重波長の光信号を分波し任意の経路へ伝送する機能を持った光スイッチ。WSSは、主に多重化された光ビームを各波長ごとに分離する回折格子、光を集光させるためのレンズ、光ビームを任意の方向に反射させる光ビーム偏向素子から構成される。光ビーム偏向素子には、LCOS、MEMSなどが存在する。

LCOS(Liquid Crystal on Silicon):液晶技術を利用して位相変調することで光ビームを任意の角度に反射させる
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小な可動型ミラーを動かすことによって任意の角度に反射させる

WSS3.png





35_1_setubi_1_(3).png

(3)
答え:②
解説
① ASKの変調波は、振幅が一定の搬送波とベースバンド信号である変調信号との差分を取る(正:乗算する)ことで得られる。変調度が100[%]のASKは、一般に、オンオフキーイング(OOK)といわれる。

② 正しい

③ FSKの変調波は、搬送波の周波数は変化するが搬送波の振幅が一定であることから、ASKの変調波と異なり、伝送路での雑音やレベル変動の影響を大きく受ける(正:受けづらい)

④ QAMの変調波は、互いに独立に生成された二つのベースバンド信号で直交する二つの搬送波をそれぞれ周波数変調(正:振幅変調)し、その出力を合成することで得られる。1シンボル当たり6ビットの信号を伝送できる64QAMなどがある。

補足
・ASK、FSK、PSKの変調例
ASK_FSK_PSK.png

・基本的な一次変調方式(ASK、FSK、PSK)
ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調):振幅を変化させて1と0を表す方式。振幅の有無の2値で表す最も単純なASKは、OOK(On-Off-Keying:オンオフキーイング)と呼ばれる。
※変調値
FSK(Frequency Shift Keying:周波数偏移変調):周波数を変化させて1と0を表す方式。振幅値に変化がないため、伝送路での雑音やレベル変動の影響を受けづらい。
PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調):位相を変化させて変調する方式。位相偏移に数を増やして1シンボル当たりの情報量を増やすことができ、位相偏移に数により、BPSK(Binary Phase Shift Keying:2相PSK)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相PSK)、8PSK(8相PSK)、16PSKなどの種類がある。
 BPSK(2相PSK)→位相を0°、180°の2値に区分することで1シンボルで2bitの情報を表すことが可能
 QPSK(4相PSK)→位相を0°、90°、180°、270°の4値に区分することで1シンボルで2bitの情報を表すことが可能
 8PSK(8相PSK)→位相を0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、360°の8値に区分することで1シンボルで3bitの情報を表すことが可能。

・PSK(BPSK)変調の例
PSK_heni.png
・位相偏移に数が増えたPSK
PSK_16_2.png

・QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調):位相が直交する2つの波を合成して搬送波とし、それぞれに振幅変調を施して情報を伝送する方式。PSKの位相変化に加えて、振幅の変化も情報として含めるため、1シンボルにおける伝送効率を高くできる。16個の信号点を持つ16QAMでは、以下のように信号点が配置され、1シンボルで4bitの情報を送ることができる。

・16QAMのシンボル信号点
16QAM.png



35_1_setubi_1_(4).png

(4)
答え:③
解説
①②④正しい

③ 常に予備パスに現用パスと同じ信号を流しておく1+1構成では、一般に、伝送路の故障時には送信端側(正:受信端側)で切替えを行うことでパスを救済する方式が用いられる。

補足
ADM(Add/Drop Multiplexer:分岐挿入装置):リング状に形成されている伝送路で利用される多重化装置。伝送路の一部のデータを取り出したり挿入したりすることができる。特に、光通信で利用されるものは、頭に光通信(Optical)のOをつけて、OADM(Optical Add/Drop Multiplexer:光分岐挿入装置)と呼ばれる。

・OADMリングシステムの構成
OADMリングシステムは、光信号のアドドロップ機能を提供するOADM(Optical Add/Drop Multiplexer:光分岐挿入装置)とリング同士の接続部分に設置して方路を選択するOXC(Optical Cross Connect:光クロスコネクト装置)によって構成される。

OADM_ring.png


・OADMリングシステムの冗長構成
OADMリングシステムでは、リング上のどこで障害が発生しても通信を継続できるように時計回りと反時計回りの両方向に2つ経路を用意している。WDMの光通信は1つの経路に対してTX→RX、RX→TX用の2心ファイバが必要となるため、現用経路と予備用経路で計4心のファイバが必要になる。

OADM_ring_redundant2.png

OADMリングシステムにおける冗長方式の種類
・1+1構成(1+1プロテクション)
光パスを終端するノード装置間において、あらかじめ設定した2本の経路にて同一のデータを転送し、受信端のノード装置でいずれの経路から信号を受信するかを切り替える方式。ノード装置間での切替えのための制御信号をやり取りする必要がないが、波長の利用効率が50%に留まる。

・1:1構成(1:1プロテクション)
光パスを終端するノード装置間において、あらかじめ2本の経路を設定し、通常は現用経路にてデータを転送し、現用経路において障害を検出した場合はデータを転送する経路を予備経路へ切り替える方式。切替えに際し、ノード装置間で切替えのための制御信号をやり取りする必要がある一方、予備経路を優先度の低いデータの転送に用いることで、波長の利用効率を上げることができる。


参考:電子情報通信学会:知識の森:5群5編 フォトニックネットワーク:https://www.ieice-hbkb.org/files/05/05gun_05hen_01.pdf







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