24年 第1回 「伝送設備」



24_1_setubi_1_(1).png
問1
(1)
ア:⑬ 階層
イ:⑪ リゾルバ
ウ:⑥ ネーム
エ:⑨ ゾーン

補足
ホスト名、ドメイン名、FQDN( Fully Qualified Domain Name)、URLの関係
FQDN.png

・DNSのサーバ/クライアントの名称について
DNSサーバは、「ルートサーバ」とも呼ばれる。また、キャッシュ機能を持ちクライアントの問い合わせを受けるDNSサーバは、「キャッシュDNSサーバ」、「フルサービスリゾルバ」などと呼ばれる。
DNSクライアントとして動作するソフトウェアは「リゾルバ」と呼ばれたり、「スタブリゾルバ」と呼ばれる。※電気通信主任技術者では「リゾルバ」という名称で出題されることが多い。

・ゾーン情報:IPアドレスとホスト名の対応情報や、その他のサーバのIPアドレス情報、各種の管理用の設定などを記述したデータ

・DNSの階層構造の概念
DNSは木(ツリー)構造の階層構造をしており、頂点部分はルートドメインと呼ばれ、ルートドメインに存在するサーバをルートサーバという。その一段下の階層は、トップレベル・ドメインと呼ばれ、その下にセカンド・レベル・ドメイン、サード・レベル・ドメインと続く。上位のネームサーバは、自分の一段下位に位置するDNSサーバ(ネームサーバ)のIPアドレスを知っているため、ルートサーバから順番に問い合わせを行えば、目的の情報にたどり着くことができる。また各ドメイン(下図の例では、ac.jp、co.jp、aaa.comのそれぞれにおいて)では、故障が発生してもDNSの名前解決サービスを継続できるよう2台以上のDNSサーバが運用されている。通常使われるサーバをプライマリDNSサーバといい、バックアップ用のDNSサーバをセカンダリDNSサーバという(セカンダリDNSサーバは、複数台存在する場合もある)。プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバは、そのドメインで管理するゾーン情報を定期的に交換することで、常時同じ名前解決を行える状態になっている。
DNS_kaisou3.png


・DNSの問い合わせの流れ
「aaa.co.jp」に問い合わせを行った場合の例を以下に示す。リゾルバが社内のDNSサーバに「aaa.co.jp」のIPアドレスの問い合わせを行うと、社内のDNSサーバはルートサーバから順に「jp」、「co.jp」と問い合わせを行い、最終的に「co.jp」ネームサーバが持つ「aaa.co.jp」とIPアドレスのレコードを取得すると、そのレコードをリゾルバに返答する。
DNS_saiki_hanpuku3.png




24_1_setubi_1_(2)i.png

(2)
(ⅰ)
答え:④
解説
①②③正しい

④同軸ケーブルと光ファイバケーブルを用いて双方向伝送する技術には、ハイブリッドシステム構成を採るHFCがある。CATVのHFCは、一般に、センタ側の幹線系に既設の同軸(正:光ファイバ)ケーブルが用いられ、ユーザ宅に近い分配系に光ファイバ (正:同軸)ケーブルが用いられている。

補足
1対のメタリックケーブルを使った通信
加入者宅内では、10BASE-Tなどの送信(2線)、受信(2線)の2対(4線)が通信が行われる。しかし、加入者から交換機までの加入者回線では、メタリックケーブルは1対(2線)しか用意されていない。ISDNでは、その1対(2線)だけを使って、送信、受信の双方向通信を実現しなければいけない。そのための技術として、エコーキャンセラ方式と、TCM方式(ピンポン伝送)の2つが存在する。エコーキャンセラ方式は欧米のISDNで、TCM方式は日本のISDNで利用されてきた方式。

・エコーキャンセラ方式:双方向の通信(送信と受信)を合成させて1対のメタリックケーブルで伝送し、受信の際に、自分が送信した通信を検出し、それを打ち消す(キャンセリングする)信号を出すことで、通信を行う方式。

・TCM方式(別名:ピンポン方式):1対のメタリックケーブル(2線)で双方向通信を実現するために、送信と受信を時間的に交互に繰り返す方式。2対のメタリックケーブル(4線)での送信パルスを2倍以上の速度にし、時間圧縮で空いた時間を反対側の受信パルスに使う。卓球の玉が交互にやり取りされる様子に似ているため、ピンポン方式とも呼ばれる。
ISDNの場合は、片方向160kbpsの伝送速度が必要なため、その2倍の320kbpsの通信帯域を用意し、通信を交互にやり取りすることで双方向通信を実現している。
TCM.png

・xDSL(x Digital Subscriber Line):1対(2線)のメタリックケーブル(電話回線)に従来のアナログ音声信号に加えデータ通信を重畳させる通信技術。xDSLのxの部分には、その通信の特徴に応じてアルファベットが入る。
xDSL(Digital Subscriber line)方式の種類と概要
名称意味ケーブル伝送速度伝送距離
上り下り
ADSLAsymmetric DSL1対16kbps~1Mbps1.5Mbps~10Mbps 5.5km
SDSLSingle DSL1対150kbps~2Mbps(対称)7km
HDSLHigh data rate DSL 2対1.5Mbps~2Mbps(対称)7km
VDSLVery high data rate DSL 1対VDSL1:30Mbps
VDSL2:上り・下り合計で200Mbps
VDSL1:50Mbps
VDSL2:上り・下り合計で200Mbps
1.5km(※)

(※200Mbpsで通信できるのは伝送距離200m程度といわれ、伝送距離が増えるにつれ通信速度は下がる)

・PONの構成
PDS2.png
構成機器
ONU(Optical Network Unit):ユーザ宅内に設置される光終端装置。光ファイバによるGE-PONの通信を終端し、Etherなどの電気信号に変換する装置
OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局舎側に設置される光終端装置。一つの光ファイバに最大32台のONUを収容することができる。
光スプリッタ:電線上などに設置され、OLTを複数のONUに接続するために光信号を分岐・合流する装置

・PONの伝送方式
PONは、下りは、TDM方式、上りは、TDMA方式が使われ、上り、下りはそれぞれWDM(波長多重)技術により別の波長で伝送される。

TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重):一つの伝送路を時間で区切って複数のタイムスロットを作り、異なる信号をそれぞれのタイムスロットに格納し多重伝送をする技術。PONでは、多重化された下り信号はOLT配下のすべてのONUに対して伝送されるが、ONUは、ONU個々に割り当てられたタイムスロットの信号のみを抽出して端末側へ送信する。
TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続):一つの伝送路を複数のユーザで同時利用する方式。OLTは、各ONUに対して送信許可を通知することにより、各ONUからOLTへの上り信号を時間的に分離し、衝突しないように制御している。
WDM(波長分割多重:Wavelength Division Multiplexing):一心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上り・下りの光信号を同時に送受信可能とする技術。
TDM_TDMA_WDM.png


・HFC(Hybrid Fiber Coax):CATV網のネットワーク構成方法の1つ。センタ側の幹線系に既設の光ファイバが用いられ、ユーザ宅に近い分配系に同軸ケーブルが用いられる。CATV会社としては、既存の同軸ケーブル網を流用できるため、高速大容量化した光ファイバ通信の展開を経済的に行える。
HFC.png

類題
問題番号:26年第1回(設備) 問1(1) 光アクセスシステム




24_1_setubi_1_(2)ii.png
(ⅱ)
答え:⑤

解説
①②③④正しい

⑤ GE-PONは、Ethernetフレームのデータ伝送を目的としたPON方式であり、G-PONと比較して、下り信号の最大伝送速度が約2倍に高速化されている(正:約1/2である)

補足
・PONシステムの方式
・B-PON(Broadband-PON):Etherフレームなどの可変長フレームを固定長のATMセル(53byte)に乗せ換えてPON区間を伝送する方式。EtherフレームをATMセルに乗せ換えるため収容効率が悪い。上り速度/下り速度はそれぞれ、独立して選択可能。
・G-PON(Gigabit PON):EtherフレームなどのATMセル以外のフレームはGEM(G-PON Encapsulation Method)フレームにカプセル化し、そのGEMフレームをATMセルと一緒にしてGTC(G-PON Transmission Convergence)フレームにカプセル化する。このように作られたGTCフレームでPON区間を伝送する。上り/下り速度は、最大2.48Gbit/sまで対応しており、それ以下の複数の伝送速度を選択することも可能。
・GE-PON(Gigabit Ethernet-PON):可変長のEtherフレームをそのままPON区間で伝送する。上り/下り速度は、1.25Gbit/sに固定されている。

・PON区間のフレーム構成
B_G_GE_PON.png

・PONシステム方式の比較
方式名B-PONG-PONGE-PON
標準化ITU-T G.983ITU-T G.984IEEE 802.3ah
伝送速度上り155Mbit/s、622Mbit/s155Mbit/s、622Mbit/s、 1.24Gbit/s、2.48Gbit/s1.25Gbit/s
下り155Mbit/s、622Mbit/s、 1.24Gbit/s1.24Gbit/s、2.48Gbit/s1.25Gbit/s
ONU収容数最大64台最大254最大128
伝送フレームATMフレーム(固定長)GEMフレーム、GTCフレーム(可変長)Ethernetフレーム(可変長)



・PONの波長分配
PON(B-PON/G-PON/GE-PON)システムでは、上り下りの通信用の波長帯の他に、映像伝送用の波長帯も用意されている。
波長
映像信号1.55μm帯
上り1.31μm帯
下り1.49μm帯




24_1_setubi_1_(3)i.png

(3)(ⅰ)
答え:⑤
解説

①②③④正しい

⑤ 発信号局と着信号局との間で信号メッセージが転送される経路は信号ルートといわれ、この経路には、一般に、SEP(正:STP)といわれる信号中継局及び信号リンクが含まれる。

補足
PSTN (Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網):回線交換方式の音声通話サービスを提供する公衆回線網のこと

・PSTNにおける制御信号の伝送方式
PSTNで制御信号(呼制御や網管理に使用)を伝送する方式として、個別線信号方式共通線信号方式の2つが存在する。

 ・個別線信号方式:音声データと制御信号が同じ伝送路で転送される方式。PSTNでは、回線交換方式を採用しているため、個別線信号方式では、通話によるセッションが確立されてしまうと、制御信号を転送することができなくなってしまう。そのため、複雑なサービスの制御を行うことができない。

 ・共通線信号方式:音声データと制御信号が別々の伝送路で転送される方式。制御信号が音声データと独立した回線となっているため個別線信号方式で課題だった通話セッション確立中の制御信号の転送が可能になっている。これにより、様々なサービスの提供が可能になった。代用的なサービスに、発信者の電話番号をディスプレイに表示させるナンバーディスプレイなどがある。共通線信号方式のうち、No.7共通線信号方式(SS7:Common Channel Signaling System No.7)が現在の主流となっている。

・No.7共通線信号方式のネットワーク
ss7_network_2.png

(構成機器)
共通線信号の処理を行う局(交換機)のことを信号局(SP:Signal Point)といい、SPには、STPSEPの2種類が存在する。
 -信号局(SP:Signal Point):共通線信号の処理を行う局の総称。SPには、信号局コードが割り振られており、制御信号メッセージの送信時に転送や受信を行う局を選択するために使われる。
 -信号端局(SEP:Signal End Point):共通線の信号を送受信する末端の局
 -信号中継局 (STP:Signal Transfer Point):共通線の信号を中継する局

(No.7共通線信号方式の面構成)
共通線信号網は、2面(A面、B面)の網構成をとっており、SEPからの信号リンクは、両面のSTPに二重帰属しており、片方の面が停止しても、他方の面を利用して制御信号を伝送することができる。

非回線対応信号機能:フリーダイヤル番号から加入者番号への翻訳など、回線の呼制御とは直接関係のない機能



24_1_setubi_1_(3)ii.png(ⅱ)
答え:④ A、Bが正しい

解説
A、B:正しい

C:メッセージ転送部は、レベル1の信号リンク機能部(正:信号データリンク部)、レベル2の信号データリンク部(正:信号リンク機能部)及びレベル3の信号網機能部で構成され、信号接続制御部と合わせてOSI参照モデルのレイヤ4(正:レイヤ3)の機能を実現している。

補足
・共通線信号方式の機能(OSI参照モデルとの対応)
ss7_3.png


電話ユーザ部(TUP:Telephone User Part):基本的な呼制御を規定している(国内ではTUPは使われていない)
ISDNユーザ部(ISUP:Integrated Services Digital Network User Part):信号局がやり取りするメッセージを規定する
トランザクション機能部(TCまたは、TCAP:Transaction Capabilities Application Part):非回線対応信号機能(通話に直接関わらない付加機能)を提供する
信号接続制御部(SCCP:Signaling Connection Control Part):共通線信号でのルーティングを行う(MTPの信号データリンク部と合わせてOSI参照モデルのL3に該当)

メッセージ転送部(MTP:Message Transfer Part):経路管理に関する部分。下記の3つのレベルから構成されている。
 レベル3:信号網機能部:共通信号網でのルーティングを行う(SCCPと合わせてOSI参照モデルのL3に該当)
 レベル2:信号リンク機能部:信号の誤り制御などを規定(OSI参照モデルのL2に該当)
 レベル1:信号データリンク:信号の電気的条件や物理的条件を担う(OSI参照モデルのL1に該当)





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