25年 第1回  「伝送設備」



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問1
(1)
ア:⑬ CDN
イ:⑤ VOD
ウ:⑧ マルチキャスト
エ:⑩ RTP

補足
CDN(Contents Delivery Network):コンテンツ配信に特化したネットワーク。主にコンテンツサーバのアクセスを負荷分散し、ユーザに遅延の少ないコンテンツ提供することを目的としている。CDNでは、地理的な概念も考慮し、各地域に配置されたキャッシュサーバのうち、ユーザの近くにあるキャッシュサーバを選んでコンテンツを提供する。これにより、無駄なトラフィックを削減し効率的なコンテンツ配信を実現できる。
cdn.png

IP放送(IPマルチキャスト放送):衛星放送や、ケーブルテレビ(CATV)などと同じような多チャンネル放送サービスをIPネットワークで配信する技術
IP再送信:地上波放送などのテレビ用コンテンツをリアルタイムでIPネットワークを使って配信すること。放送局が電波で配信したコンテンツを通信事業者が受信し、そのコンテンツをIPネットワークで再配送することでインターネットに接続したユーザでもテレビのコンテンツを視聴することができる。
VOD(Video On Demand):放送局から一方向的に配信されるコンテンツと違い、ユーザの要求に応じてコンテンツが配信される放送方式

マルチキャスト通信:グループ分けされた特定のユーザに対して同時通信を行う通信。

RTP(Real-time Transport Protocol):音声や動画などのデータストリームをリアルタイムに配送するためのプロトコル
RTSP(Real Time Streaming Protocol):サーバ・クライアント間のストリーミング制御に関するインタフェースを規定しているプロトコル。このプロトコルにより、再生、停止、早送り、巻き戻しが可能になる。




25_1_setubi_1_(2)i.png


(2)
(ⅰ)
答え:④
解説
①②③正しい

④ 1標本当たりの符号化ディジット数を1[bit]増加することにより、信号対量子化雑音比は、3(正:6.02) [dB]改善される。

補足
PCM(Pulse Code Modulation)符号化:アナログ信号を「標本化⇒量子化⇒符号化」という手順でデジタル化する方法
・標本化(サンプリング):一定の間隔(サンプリング周期)でその時の値(標本値)を採取する
・量子化:アナログ値である標本値は無限個存在するが、それを有限個の値に区切る。量子化の過程で、ある範囲内にある標本値は、同一値になる。量子化によって情報が失われてしまう事を量子化雑音という。
・符号化:量子化によって区切られた値を、1と0のパルス値に変換する。


・PCM符号化と量子化雑音
送信側で量子化の際に失われた情報は、受信側で復元できず、ある範囲内にある標本値は全て同一値として復号される。
degrade3.png

・1標本当たりの符号化ディジット数と量子化雑音の関係
理想的なアナログ-デジタル変換回路では、信号対量子化雑音比(S/N比:SNR(Signal to Noise Ratio))は以下のように求められる。(Qは、符号化ディジット数(ビット数))
\(SNR=20log_{10}(2^Q) \simeq 6.02 \times Q[dB] \)
※上記の式により、符号化ディジット数を1bit増やすごとに6.02dB改善することが分かる。

・②の計算
標本化周波数は、8kHz(1秒間に8000回のサンプリングが行われる)であり、それぞれの標本値を8bitに符号化しているので8kHz×8=64[kbit/s]となる。

【参考】IP電話における標本化について
人間が話す音声を明瞭に聞き取れる音声帯域は 300Hz~3.4kHzとされている。シャノンのサンプリング定理に基づき、元の波形を復元するには、原音の周波数の2倍以上で標本化(サンプリング)することが必要であるとされているため、IP電話におけるPCM方式では、300Hz~3.4kHzの2倍以上である、8kHzで標本化が行われる。



25_1_setubi_1_(2)ii.png


(ⅱ)
答え:③
解説
① 適応予測と適応量子化を使用する差分PCM方式は、CELP方式(正:ADPCM方式)といわれ、64[kbit/s]で伝送する帯域を2回線として使用することができる。

② 送信側で音声を分析し、有声/無声判定、ピッチなどの情報を伝送し、受信側でそれらの情報を用いて音声を合成する分析合成系の音声符号化方式は、一般に、ADPCM方式(正:分析合成符号化「ボコーダー」)といわれる。

③正しい

④ MPEG-1は、1.5[Mbit/s]以下のビットレートで、CD-ROMなどの蓄積メディアに音声及び静止画像(正:動画)を保存するための符号化方式である。

補足
・ITU-Tで標準化された音声信号の符号化方式
ITU-T勧告符号化方式ビットレート
(kbit/s)
説明サービス分類
G.711PCM符号化方式64PCM符号化を使って、サンプリング周波数8kHz、非線形量子化8bitで音声アナログ信号をデジタル信号に変換する。符号化則として、μ-lawとA-lawの2つがある。ISDN標準端末、IP電話機波形符号化方式
G.726ADPCM32適応予測と適応量子化を用いることで、PCM符号化方式と同等の音声品質を保ちながら、32kbit/s(PCM方式の1/2)で伝送する方式PHS、デジタルコードレス電話機波形符号化方式
G.729CS-ACELP8音声波形ではなく、コードブックに登録された波形パターンの番号と音声の特徴情報を送ることで情報量を飛躍的に減らした方式IP電話機、インターネット電話機ハイブリッド符号化方式


PCM符号とPCM符号化方式について
PCM符号化は、音声アナログ信号から「標本化⇒量子化⇒符号化」という手順でデジタル信号に変換するための符号化技術の事を表しており、CD-ROMやその他の技術にも応用されている(サンプリング周波数や量子化方法は、用途に応じて使い分けられる)。PCM符号化方式は、ISDNサービスの展開に伴い、デジタル音声通話のために開発されたITU-Tの規格のことで、サンプリング周波数や、非線形量子化の方式などが細かく規定されている。両者は、混同しやすいので注意が必要。

音声符号化の分類
波形符号化:波形そのものを符号化する方式。比較的音質は良いが圧縮率は低い。
分析合成符号化:人間の声帯などの発声のメカニズムに基づいて符号化する方式。波形の再現性を考慮していないため、圧縮率は高い。
ハイブリッド符号化:波形符号化と分析合成符号化を合わせた方式。分析合成符号化に波形情報を補助的に加えているため、圧縮率は、中程度。

ADPCM(adaptive differential pulse code modulation:適応差分PCM):適応予測と適応量子化を使用した差分PCM方式。PCM方式と同等の音声品質を保ちながら、32kbit/s(PCM符号化方式の1/2)で伝送することができる。PHSなどで使用される。

<ADPCMで使用される技術>
ADPCMでは、適用予測と適応量子化を使って、情報量を削減している。
・差分PCMと、それを応用した適用予測
音声は、連続性のある波形のため、隣接する1つ前の値から大きく変化することは少ない。そのため、波形の振幅値ではなく一つ前の値からの差分値を用いた方が、1サンプル当たりの情報を少なくできる(例えば、最大の差分量が128値で表せれば、8bit(256値)⇒7bit(128値)を使うことができる)。このように差分信号を量子化する方式を差分PCM(DPCM)という。更に、音声情報は、過去の信号と密接に関係しているため、将来の信号の予測を立てやすい。その特性を利用し、将来の音声信号の予測を立て、実際の信号とその予測値との差分値を伝送信号として使うことで更に情報量を減らすことができる。この技術を適用予測といい、ADPCMで使われている。
ADPCM_tekiou_yosoku.png

・適応量子化
差分PCMにおける差分値を更に圧縮するため、振幅の変化が急激な部分は量子化ステップを大きくし、変化が緩やかな部分は量子化ステップを小さくすることで圧縮効率を更に上げることができる。
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CS-ACELP(Conjugate Structure - Algebraic Code Excited Linear Prediction)の仕組み
音声信号を10msずつ区切って、コードブックの波形パターンから類似しているものを選択し、その波形パターン番号、音声のピッチ、大きさ、その他の音声情報を合わせて80bitの符号情報として1秒に100回の速度で送信する(80bit×100回=8kbit/s)。受信側では、コードブックを使用して、波形パターン番号とその他の情報から音声を再現することができる。実際の波形ではなく波形パターン番号を送ることにより飛躍的に伝送する情報量を減らすことができる。


・画像符号化の手順
予測符号化/変換符号化:同一フレーム内や別フレーム間での相関性を持った情報を取り除き、冗長な情報を圧縮する。
量子化:前工程で圧縮された情報を離散的な代表値で近似する。近似することによって失われた情報は量子化雑音といい復号工程で元に戻すことはできない。量子化雑音は、量子化ステップの幅を小さくすることにより小さくすることができる。
符号割当:量子化された信号値に「0」と「1」からなる符号に割り当てる
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・予測符号化/変換符号化の技術:フレーム内符号化
一般的に静止画データは、周辺の画素と強い相関性を持っている(例えば上半分が空の写真は、青色の画素が連続し、上下左右で強い相関性を持つ)。そのような画素間の空間的な相関性を用いて圧縮する方式をフレーム内符号化という。具体的には、画素の相関性が高い場合に高い圧縮率で圧縮が行える離散コサイン変換処理などが挙げられる。
flame_nai.png

・映像関連の規格
規格名制定年度制定組織用途・特徴
H.2611990年CCITT(ITU-Tの前身)用途:ビデオ電話、ISDNテレビ電話
特徴:勧告当時は、テレビジョンの規格が国によって独自だったため(NTSC、PALなど)、共通の画像フォーマットを策定する必要があり、H.261の中で352×288画素のCIF(Common Intermediate Format)が規定された。
MPEG-11993年MPEG用途:CD-ROMなど
特徴:再生時に映像と音声合わせて1.5Mbit/s前後のデータ転送速度が必要。CD-ROMで1時間程度の動画を蓄積することを目的として規格化された。
MPEG-21995年MPEG用途:デジタルTV、DVDなど
特徴:必要な画質に合わせてレベルが設けられている。再生時に映像と音声合わせて4~15Mbit/sのデータ転送速度が必要。
MPEG-4AVC/H.2642003年ITU-TおよびMPEG用途:ワンセグ放送・スマートフォン用コンテンツ
特徴:MPEG-4 Part 10 Advanced Video Codingの略(MPEG-4をさらに細分化したPart10の規格)。ITU-TとMPEGで同一の内容が規格化されているため、両方の規格名が/で並んでいる。圧縮符号化率がMPEG-2の2倍程度。

MPEG(Moving Picture Experts Group):動画像の圧縮符号化技術の標準化を行うISO/IEC JTC1の専門家グループ。このグループにより、高効率の各種符号化方式が規格化されている。



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(3)
(ⅰ)
答え:④
解説
①②③正しい

④ NGNではサービスとトランスポートの分離を基本としていることから、音声電話はNGNトランスポートストラタムで提供され、Webベースの電子メール及び映像サービスはNGNサービスストラタムで提供されるなどのサービス別に分離がされている。(※音声電話は、サービスストラタムで提供される)

補足
・NGN(Next Generation Network)とは
従来の音声通話サービスは、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換電話網)とよばれる電話網によって提供されており回線交換方式が使われていた。しかし、インターネットの普及によりパケット交換方式による通信(IP通信)が主流になってきたため、回線交換方式の音声通話サービスを廃止し、代わりにパケット交換方式で音声通話サービスを提供する方針が考えられるようになった。このような背景の中、パケット交換方式(IP技術)で電話網を構築するために国際標準化されたのがNGNである。NGNは、従来のパケット交換網で音声通話を実現する際に主な問題となるリアルタイム性(QoS制御)セキュリティを向上させることで従来の電話網を代替されられるようにしている。国内では、NTTが2008年にNGNを使った「フレッツ光ネクスト」のサービスが開始されており、2025年にはPSTN網の老朽化により回線交換網による音声通話サービスを終了する予定となっている。
※リアルタイム性とセキュリティについて:従来のIP網では、Webページの閲覧などが行えればよかったため、パケット遅延やパケット損失による再送などリアルタイム性を損ねる要素に対して問題とされてなかったが、音声通話の場合、パケット遅延が発生すると音声品質にそのまま影響してしまう。そのため、QoS制御により、音声パケットを優先的に転送するなどの処置が必要になる。また、音声通話サービスは通話時間による課金の要素などがあり第三者からの攻撃に対するセキュリティ機能が必要となる。

・NGNアーキテクチャの概念図
NGNは、ネットワークの機能を表す2つのストラタム(階層)と他のネットワークや端末との接続点となる3つのインタフェースにより構成されている。

NGN_3.png

・3つの接続点(インタフェース)
UNI(User Network Interface):ユーザ端末との接続点
NNI(Network Node Interface):他網(PSTN網、ISDN網、NGN網、インターネット網など)との接続点
ANI(Application Network Interface):アプリケーションとの接続点。外部のアプリケーションからNGN内の機能を使うためのAPIなどを提供する。

・2つのストラタム
 ストラタムには、トランスポートストラタムサービスストラタムの2つがある。
トランスポートストラタム:IPパケットの転送とQoS制御やセキュリティなどの追加機能を提供
サービスストラタム:通話端末間の呼制御やストリーミング配信など複数サービスに共通する機能群を提供

・トランスポートストラタムの機能
  ・トランスポート機能:パケットの転送に関する機能を提供する
  ・ネットワークアタッチメント制御機能(NACF):認証やIPアドレスの払い出しなど、端末がネットワークに接続する際の処理に関する機能を提供する
  ・リソース受付制御機能(RACF):QoS保証のための受付制御を行う機能を提供する

・サービスストラタムの機能
  ・サービス制御機能:トランスポートストラタムから提供される回線の混み具合等の情報を考慮して発着信の管理を行う機能を提供する。実装においては、IMS(IP Multimedia Subsystem、IPマルチメディア・サブシステム)と呼ばれるSIPサーバ群で構成されたシステムによって機能を提供している。

  ・アプリケーションサポート機能/サービスサポート機能:エンドユーザに対してWebとの連携や音声、データ、映像アプリケーションなどに関連する付加価値サービスを実現するための機能を提供する。



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(ⅱ)
答え:③
解説
① NGNアーキテクチャにおけるインタフェースは、ANI、UNI、NNI及びHMI(正:3)つが規定されている。 (※HMIは含まない)

② ANIは、上位のアプリケーションがNGNに依存して開発され、また開発された(正:依存しないように開発された)アプリケーションを用いたサービスが従属性をもって提供できるような仲介機能を提供するインタフェースである。

③正しい

④ NNIは、同じタイプのネットワーク(正:同じタイプ、異なるタイプの両方のネットワーク)を相互に接続するためのインタフェースであることから、ISDNのような異なるタイプのネットワークはNGNに接続されない(正:接続できる)

⑤ ANIは、アプリケーションとNGNトランスポートストラタム(正:サービスストラタム)との間で、情報交換を直接行うためのインタフェースである。

補足
・NGNアーキテクチャの概念図
 NGNは、ネットワークの機能を表す2つのストラタム(階層)と他のネットワークや端末との接続点となる3つのインタフェースにより構成されている。
NGN_2.png

・3つの接続点(インタフェース)
UNI(User Network Interface):ユーザ端末との接続点
NNI(Network Node Interface):他網(PSTN網、ISDN網、NGN網、インターネット網など)との接続点
ANI(Application Network Interface):アプリケーションとの接続点。外部のアプリケーションからNGN内の機能を使うためのAPIなどを提供する。(APIを使うことでNGNに依存しない開発が可能)






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