令和2年 第2回 「伝送設備」
.png)
問1
(1)
ア:⑫ 呼制御
イ:⑮ 情報転送
ウ:④ H.323
エ:⑩ プロキシサーバ
VoIPで利用されるプロトコルの分類
【呼制御プロトコル】
以下のような機能を提供するプロトコル。H.323やSIP(Session Initiation Protocol)などがある。
-発信側からの要求に応じて着信先のIPアドレスなどを調査し指定する機能
-チャネル(通信回線)を設定・切断する機能(セッションの確立・切断ともいわれる)
-エンド・ツー・エンド(発信端末・着信端末間)で 音声の圧縮方式やポート番号など情報転送プロトコルの動作する環境や条件を調整する機能
※H.323:ITU-Tで国際標準化されている呼制御プロトコル。ISDN網で使われていたH.320をベースにして作られている。
※SIP(Session Initiation Protocol):HTTPをベースにした呼制御プロトコル。HTTPと同様にテキストベースのメッセージのやり取りによって制御が行われる。
【参考】SIPメッセージの例(INVITEメッセージ)
SIPメッセージは下記のように、テキストベースのメッセージでやり取りされる。
INVITE sip:bob@biloxi.example.com SIP/2.0
Via: SIP/2.0/TCP client.atlanta.example.com:5060;branch=z9hG4bK74b43
Max-Forwards: 70
Route:
【情報転送プロトコル】
VoIPでやりとりされる音声パケットを転送するプロトコル。音声や映像などの転送に特化しているRTP(Real time Transport Protocol)などがある。
【MG制御プロトコル(MGCP(Media Gateway Control Protocol))】
VoIPなどのIPネットワークを使った音声ネットワークと従来の公衆交換電話網 (PSTN) を相互につなげるためのプロトコル。
・SIPのリクエスト/レスポンスモデルについて
SIPではIP電話機やVoIPゲートウェイ(アナログ電話機をIP電話機として使うために変換する機器)、VoIPアプリケーションがインストールされたPCなどのSIPプロトコルに対応したハードウェア/ソフトウェアのことをUA(User Agent)という。また、UAのうち、通話開始や電話切断などのリクエストメッセージを出す側のUAをUAC(User Agent Client)といい、UACが出したリクエストメッセージに応答するUAをUAS(User Agent Server)という。SIPは、UACがリクエストメッセージをUASに送り、UASがそれに応答するレスポンスメッセージをUACに送ることを繰り返す、リクエスト/レスポンスモデルに基づいている。また、このUASとUACの関係は、1つのトランザクションが終わると解消される。例えば、端末Aが端末Bに電話を掛けて通話を開始した場合、端末AがUAC、端末BがUASになるが、通話終了時に端末Bが電話を切った場合、端末BがUAC、端末AがUASになる。

・SIPのシステム構成
一般的に、レジストラ、プロキシサーバ、リダイレクトサーバは、1台のSIPサーバに包含されており、リクエストや状況に応じて各サーバとして動作する。ロケーションサーバは、位置情報等を保持するデータベースとしての機能を有している。

・各サーバとしての機能
-レジストラ
レジストラは、UAからの新規登録や更新、削除などを受け付け、ロケーションサーバの内容を変更する。

-プロキシサーバ
プロキシサーバは、通常のセッション開始時に動作する。UACからのリクエストに対してロケーションサーバに問い合わせを行いUASの場所を特定した後、UASの呼び出しを行いセッションを確立する

-リダイレクトサーバ
リダイレクトサーバは、UASが移動していた場合に動作する。UASの移動先の情報をUACに返答し、UACから直接UASにセッションを繋げるように促す。

i.png)
(2)
(ⅰ)
答え:③
①②④正しい
③ 1標本当たりの符号化ディジット数を1[bit]増やすことにより、直線量子化においては、信号対量子化雑音比が3(正:6.02)[dB]改善される。
PCM(Pulse Code Modulation)符号化:アナログ信号を「標本化⇒量子化⇒符号化」という手順でデジタル化する方法
・標本化(サンプリング):一定の間隔(サンプリング周期)でその時の値(標本値)を採取する
・量子化:アナログ値である標本値は無限個存在するが、それを有限個の値に区切る。量子化の過程で、ある範囲内にある標本値は、同一値になる。量子化によって情報が失われてしまう事を量子化雑音という。
・符号化:量子化によって区切られた値を、1と0のパルス値に変換する。
・PCM符号化と量子化雑音
送信側で量子化の際に失われた情報は、受信側で復元できず、ある範囲内にある標本値は全て同一値として復号される。

・1標本当たりの符号化ディジット数と量子化雑音の関係
理想的なアナログ-デジタル変換回路では、信号対量子化雑音比(S/N比:SNR(Signal to Noise Ratio))は以下のように求められる。(Qは、符号化ディジット数(ビット数))
\(SNR=20log_{10}(2^Q) \simeq 6.02 \times Q[dB] \)
※上記の式により、符号化ディジット数を1bit増やすごとに6.02dB改善することが分かる。
・②の計算
PCM符号化方式における標本化周波数は、8kHz(1秒間に8000回のサンプリングが行われる)であり、それぞれの標本値を8bitに符号化しているので8kHz×8=64[kbit/s]となる。
【参考】IP電話における標本化について
人間が話す音声を明瞭に聞き取れる音声帯域は 300Hz~3.4kHzとされている。シャノンのサンプリング定理に基づき、元の波形を復元するには、原音の周波数の2倍以上で標本化(サンプリング)することが必要であるとされているため、IP電話におけるPCM方式では、300Hz~3.4kHzの2倍以上である、8kHzで標本化が行われる。
30年第1回(設備)問1(2)(i):音声などのアナログ信号のPCM符号化方式
25年第1回(設備)問1(2)(i):音声などのアナログ信号のPCM符号化方式
ii.png)
(ⅱ)
答え:②
①③④正しい
② MPEG-1は、コンパクトディスクなどの蓄積メディアを対象とした1.5Mbit/s程度の伝送速度の動画像符号化方式であり、プログレッシブ信号及びインタレース信号に対応している。(※インタレースには未対応)
・映像信号の圧縮符号化の国際標準規格
※NTSC(National Television System Committee):アメリカで開発されたカラーテレビ放送規格。開発国のアメリカや日本で採用されていた。
※PAL(Phase Alternating Line:位相反転線):西ドイツで開発されたカラーテレビ放送規格。ヨーロッパ、ASEAN諸国の大部分、中東の大部分などで採用されていた。
※MPEG-2のレベル
Low | VideoCDなどで使われる。MPEG-1と同等の画質 |
Main | 標準テレビ相当。DVD、SDTV、デジタル放送などに使用される |
High | HDTVなどに使用される |
MPEG(Moving Picture Experts Group):動画像の圧縮符号化技術の標準化を行うISO/IEC JTC1の専門家グループ。このグループにより、高効率の各種符号化方式が規格化されている。
・プログレッシブ方式とインタレース方式の違い
映像を映す際の走査線の走らせ方の違い。プログレッシブ法式は、1フレームの画像を映すのに、上から順番に走査線を映す。インタレース方式は、1、3、5・・・と走査線を一本抜かして1フレームを描き、次のフレームでは、前のフレームで飛ばした2、4、6・・・の走査線で画像を描く。前者が、高精度な美しい映像に特化し、後者がスピード感のある映像に特化している。

25年第2回(設備)問1(2)(ii):映像信号の圧縮符号化の国際標準規格
i.png)
(3)
(ⅰ)
答え:③
① アプリケーション層(正:トランスポート層)は、一般に、コネクションの確立や切断、転送するデータの切れ目の設定などデータ転送に関する管理を行っている。
② セッション層(正:ネットワーク層)は、一般に、送信元のホストから送信先のホストまでデータを届ける役割を担い、アドレスの管理や経路選択の機能を有している。
③ 正しい
④ データリンク層(正:物理層)は、一般に、0と1のビット列を電圧の高低や光の点滅に変換する役割を担い、コネクタやケーブルの形状を規定している。
・OSI参照モデルとそれに対応するTCP/IPのプロトコル階層モデル

アプリケーション層:メールやWebブラウジングなど具体的なアプリケーションサービスを規定する階層。
プレゼンテーション層:データの表現方法を規定する階層。アプリケーション固有の表現形式をネットワークの共通形式に変換する役割を持つ。
セッション層:通信プログラムの開始から終了までの一連の手順(セッション)を管理する階層。(例えば、暗号化通信のSSL/TLSでは、暗号化通信の開始・維持・終了を規定する)
トランスポート層:ネットワーク端末上で動くアプリケーション間の通信制御を行う階層。エラー訂正や再送制御など通信の信頼性を向上させる機能も提供する。
ネットワーク層:ネットワーク端末間の通信制御を行う階層。通信経路の選択(ルーティング)などを提供する。
データリンク層:直接つながっている機器間の通信制御を行う階層。
物理層:物理的な接続を規定する階層。コネクタ形状や電気信号の変換などが規定されている。
・OSI参照モデルにおける各層の担当する通信箇所のイメージ

ii.png)
(ⅱ)
答え:②
①③④正しい
② TCPでは、コネクションを確立するとき、一般に、ツーウェイハンドシェイク(正:スリーハンドシェイク)といわれる手順で、二つ(正:三つ)のパケットのやり取りが行われる。
ポート番号:TCPおよびUDPの通信においてクライアント・サーバ間でアプリケーションを識別するための番号。16bitで構成され、0番~65535番まである。
スリーウェイハンドシェイク:TCPコネクションを確立するために、TCPクライアントとTCPサーバの間で行われる接続手順。下図のように3回のやり取りによってコネクションの確立が行われるため、こう呼ばれる。

・TCPヘッダ
以下から、16bitのウィンドウサイズと、16bitのポート番号が確認できる。(ウィンドウサイズフィールドを利用したフロー制御であるスライディングウィンドウの動作については、末尾の参考を参照ください)

・TCPとUDPの比較
TCPがデータ送達の信頼性が要求される通信などに利用されるのに対し、UDPは高速性や即時性を重視する通信や同報通信などに利用される。
TCP | UDP | |
型 | コネクション型 (ストリーム型) | コネクションレス型 (データグラム型) |
信頼性 | 高い | 低い |
転送効率 | 悪い | 良い |
用途 | FTP、HTTP、SMTP、 POP3、TELNET など | TFTP、DHCP、SNMP、 NTP など |
・【参考】スライディングウィンドウの動作の概略
スライディングウィンドウは、受信側のバッファに保管可能なデータサイズであるウィンドウサイズを送信側に伝達しながら最適な通信レートで通信を行うフロー制御の事。下記にスライディングウィンドウの動作概要を示す。

(図の説明)
①受信側は、スリーハンドシェイクで、自分がバッファに保管可能なデータサイズ(=ウィンドウサイズ)を送信側に伝える。
②送信側は、スリーハンドシェイクで認識した受信側のウィンドウサイズ分のセグメントを送信する
③受信側は、送信側から受け取ったセグメントを一時的にバッファに保管する。(バッファ領域が減ることによりウィンドウサイズは小さくなる)
④バッファに保管されたセグメントは、受信処理が完了すると、バッファから取り除かれる。これにより、受信可能なデータサイズ(=ウィンドウサイズ)が増える
⑤受信側は、ACKに現在のウィンドウサイズをセットし、送信側に送信する
⑥送信側では、ACKが届いたセグメントは送信完了とし、次の送信セグメントにウィンドウをスライドさせて、送信処理を始める。ウィンドウサイズは、直前のACKに格納されたウィンドウサイズを採用する。
※問2~5の全問題の解答及び解説は、238円でコンテンツ購入して頂くことでご覧になれます。
※単体コンテンツのため、一度のマガブロ購入で無期限で閲覧できるようになります。(月額支払は発生しません)
設備・データ通信 過去問演習

・過去問演習用のページです。不具合等ありましたら掲示板に報告頂けると幸いです。
・問2~5の解説は、マガブロ購入ユーザのみに公開しています。
・マガブロ購入ユーザには広告が表示されません。
過去問演習
類題検索型
設備の過去問演習
年度/回ごとの過去問で演習することができます。
年度/回ごとの過去問で演習することができます。
データ通信の過去問演習
年度/回ごとの過去問で演習することができます。
年度/回ごとの過去問で演習することができます。
設備/データ通信 類題検索 過去問演習
キーワード検索で抽出した問題で演習することができます。
キーワード検索で抽出した問題で演習することができます。
頻出問題 過去問題集
<電話関連>
IP電話
VoIP
SIP
公衆交換電話網(PSTN)
No.7共通線信号方式
<プログラミング>
プログラム言語
スクリプト言語
Java
オブジェクト指向
<伝送技術>
PON
GE-PON
光アクセス
移動通信
無線アクセス
ギガビットイーサネット
CATV
xDSL
VDSL
ADSL
WDM
OADM
<ネットワーク基盤>
OSI参照モデル
IMS(IP Multimedia Subsystem)
無線LAN
NGN
OTN(Optical Transport Network)
P2P
xDSL
広域イーサネット
SAN(Storage Area Network)
<ルーティング・スイッチング技術>
ルーティングプロトコル
RIP
OSPF
BGP
NAT
VLAN
IEEE802.1Q
MPLS
スパニングツリープロトコル(STP)
QoS
キューイング
SDN
OpenFlow
<プロトコル>
TCP/IP
TCP
UDP
IPv6
DHCP
DNS
FTP
RTP
NTP
ARP
PPP
<サーバ・データベース・電子メール>
負荷分散
ストリーミング
データベース
DBMS
SQL
電子メール
SNMP
POP
IMAP
<管理・JIS関連>
QC七つ道具・新QC七つ道具
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)
ディペンダビリティ(信頼性)用語
施工管理
アローダイアグラム
UML
MTBF
<設備>
光ファイバ
アンテナ
無停電電源装置(UPS)
<セキュリティ>
セキュリティ
暗号方式
ファイアウォール
パケットフィルタリング
RADIUS
IEEE802.1X
PKI
デジタル署名
トンネリングプロトコル
VPN
IPsec
侵入検知システム(IDS)
侵入防止システム(IPS)
シンクライアント
<コンピューティング>
CPU
キャッシュメモリ
デバイスドライバ
半導体メモリ
フラッシュメモリ
マルチコアプロセッサ
RAM (DRAM・SRAMなど)
RAID
動画像圧縮
<Web技術>
Webアプリケーション
HTML
XML
SOAP(Simple Object Access Protocol)
<電話関連>
IP電話
VoIP
SIP
公衆交換電話網(PSTN)
No.7共通線信号方式
<プログラミング>
プログラム言語
スクリプト言語
Java
オブジェクト指向
<伝送技術>
PON
GE-PON
光アクセス
移動通信
無線アクセス
ギガビットイーサネット
CATV
xDSL
VDSL
ADSL
WDM
OADM
<ネットワーク基盤>
OSI参照モデル
IMS(IP Multimedia Subsystem)
無線LAN
NGN
OTN(Optical Transport Network)
P2P
xDSL
広域イーサネット
SAN(Storage Area Network)
<ルーティング・スイッチング技術>
ルーティングプロトコル
RIP
OSPF
BGP
NAT
VLAN
IEEE802.1Q
MPLS
スパニングツリープロトコル(STP)
QoS
キューイング
SDN
OpenFlow
<プロトコル>
TCP/IP
TCP
UDP
IPv6
DHCP
DNS
FTP
RTP
NTP
ARP
PPP
<サーバ・データベース・電子メール>
負荷分散
ストリーミング
データベース
DBMS
SQL
電子メール
SNMP
POP
IMAP
<管理・JIS関連>
QC七つ道具・新QC七つ道具
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)
ディペンダビリティ(信頼性)用語
施工管理
アローダイアグラム
UML
MTBF
<設備>
光ファイバ
アンテナ
無停電電源装置(UPS)
<セキュリティ>
セキュリティ
暗号方式
ファイアウォール
パケットフィルタリング
RADIUS
IEEE802.1X
PKI
デジタル署名
トンネリングプロトコル
VPN
IPsec
侵入検知システム(IDS)
侵入防止システム(IPS)
シンクライアント
<コンピューティング>
CPU
キャッシュメモリ
デバイスドライバ
半導体メモリ
フラッシュメモリ
マルチコアプロセッサ
RAM (DRAM・SRAMなど)
RAID
動画像圧縮
<Web技術>
Webアプリケーション
HTML
XML
SOAP(Simple Object Access Protocol)
類題検索型 演習問題
設備の過去問演習
データ通信の過去問演習